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騎士道ナインティーン(1)

カテゴリー: プレイ日記

#Prelude

 生まれも、育ちも、種族さえ違っても、友達になれると信じた……。

 ええっと。
 私は、もう一度状況を確認した。
 ここはGreen Road、Niben Bay西岸をLeyawiinに向け南下する街道だ。
 私たちは今山賊団の襲撃を受けていて、同行させてもらった隊商の護衛兵たちは他の山賊たちの相手をするのに手一杯。
 私の目の前にはOrcの女の子がいて、殺る気まんまんで剣を私に向けて構えている。
 私は手の中の木剣一本を頼りに、彼女と対峙している。
 うん、状況確認終了。

 ……これってやっぱり、ドキドキするほど大ピンチってことだよ、ね?

 そう思ったとたん、彼女が動いた。咄嗟に身体の軸をずらしつつ間合いを外し、なんとか紙一重の差で彼女の刃をかわす。その動きだけで、彼女の強さがよくわかった。幸運が味方してくれなければ、今の一撃で私の生命はなかっただろう。
 ここは一つ、長く構えることに集中しよう。別に私が彼女を撃退する必要は無い。護衛兵たちが助けに来てくれるまで持ちこたえられればそれでいい。ちょっとくらい剣先を払われても、ビクつかない。間合いを詰められても、慌てて逃げない。落ち着いて、細かいところじゃなくて、全体で相手の動きを見るようにしよう。
 間合いの読みあいみたいな時間が、しばらく続いた。と思ったら、いきなり刃が唸りをあげて襲いかかってきた。何たるスピード、身体が自由自在に動くって、こう言うことなんだなって思った。下がって間合いを作ろうとしてもすぐ前に出られる。前に出ながら身体を横に流せる。でもここで怖がって、崩されたら一巻の終わりだ。構えて構えて、ちゃんと距離を取って、不動心不動心。
「…ぅおおおおッッ!!」
 咆哮とともに怒涛の連撃が来た。受けるのでいっぱいいっぱい。まともに受けたらもちろん木剣ではひとたまりも無いので何とか流してはいるけど、それでも持ちこたえてくれるかどうか不安になる。一瞬鍔迫り合いになりかけて彼女の顔が間近に来た。三白眼がいきすぎてほとんど白眼になってる。こわいよー。
 連撃をかろうじてやり過ごし、今一度距離を取る。すると、彼女は今、ちょっと苛立っているのかもって、そんな風に感じた。
 いってみようか、そろそろ自分から攻めてみようか。
 私は木剣を中段に構えたまま、まっすぐ前に出た。すると、なぜだろう、相手は私の剣先を嫌うようにわずかに仰け反った。
 あ、今かも。
 こういうのを千載一遇のチャンスって言うんじゃないだろうか。もう、ほんとに彼女の頭部だけがぽわんと周囲から浮き上がったように見えた。私は木剣を振り上げて……。
 パカーンという景気のいい音とともに、彼女の表情が空白になった。そのまま丸太のように地面にぶっ倒れる。周囲の様子を見ると護衛兵たちの優勢がほぼ決まりかけていて、山賊たちはいくつかの死体を残し、負傷した仲間を引きずって撤退を始めていた。つまり私の前で気絶している彼女は置き去りだ。
(ど、どうしよう。やっぱりこのまま衛兵隊に引き渡しちゃうのはまずいよね)
 自分を殺そうとした山賊をかばってどうするつもりだ、とは思うのだけれど、よく見れば目の前の彼女はまだ私と同じ年頃で、それで私はどうしても彼女をこのまま地下牢や絞首台に送ってしまう気にはなれなかったのだ。

 ……こうして私は、彼女と出会った。

********************

 プレイ日記です。以下のクエストのネタバレが含まれています。

・Raid On Greyland
・Mazoga The Orc



27-01.jpg


「君は冒険者……いや、戦士ギルドか? だったら少し、頼みたいことがあるのだが」
 推薦を取り付け、Leyawiinを立ち去ろうと町の西門をくぐったところで近くを歩き回っていた一人の軍団兵に声をかけられた。
 まあ確かに、この格好でメイジギルドでございと言うのは無理がありすぎる。
「正規の依頼なら受けてもいいですよ。ぼくの手に負える話であれば、ですけど」
 手に負えそうになければLeyawiin支部から増援を呼ぶと言う手もあるし、軍団兵に恩を売っておけるのであれば損は無い。
「ふむ、君になら任せても大丈夫そうだな」
 敢えてビジネスライクにふるまったのがかえって好感触を得たのか、彼……Lerexus Callidusはぼくの事を、腕も含めて信用してくれたようだった。
「私はskoomaの売人を追っているんだ。Kylius LonavoというDunmerに率いられた売人グループがこの道の先、Greylandと呼ばれる小さな家に巣食っている。私は何ヶ月もLonavoを捕えようしてきたのだが、近づくと見張りに見つかって逃げられてしまうのだ」
 そこで彼は、正規の軍人では無いぼくに眼をつけ、見張りの目を欺こうとしたのだと言う。とにかく誰でもいいから、Lonavoを止めてこれ以上の麻薬の蔓延を防がねばならない、と彼は言った。
 Skoomaねえ。まあ、まったく無関係な話でもなし、協力してもいいか。
「決してLonavoに背中を見せるな。奴は騙し討ちとて躊躇わん」
 ……いや、この展開でそれは無いと思うんだけど。

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 GreylandはLerexusの言った通りの、Leyawiin様式の小さな家だった。気配を注意深く探ってみたが、見張りがいる様子は無い。これでいつでも逃げられていたって……いや、まあ野暮な詮索はやめておこう。
 扉を開く前に装備を再確認する。武器、防具問題なし。ポーションの準備も万全。それでは……。
 お邪魔しま~すって……。

 ……やっぱりか!!
 玄関をくぐったとたん、帝国人の女戦士がいきなり斬りかかってきた。更にその奥で一人のDunmerが剣を抜いたまま擬態呪文を唱えて、姿を消そうとしている。どうやら軍団兵よりはくみし易しと見て迎撃する腹を固めたらしい。
 そんなことだろうとは思ってたけどね。

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 襲い掛かる剣尖をかわしつつ反撃の突きを叩き込む。手ごたえとともにぼくの剣が帝国人の喉を貫き、彼女はくずおれた。ぼくはそのまま奥に駆け込み、Lonavoが姿を消しきる前に解呪を撃ち込んだ。強制的に擬態を解除させると、そのまま斬り結ぶ。降伏は……してくれそうにないな。

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 大立ち回りの末、なんとか相手を斬り伏せることに成功する。彼らを討った証にLerexusが証拠として求めていたLonavoの指輪を奪うと、ぼくはLeyawiin西門に戻った。

「やってくれたか!感謝の言葉もない!!神々とLegionの名において君に敬意を!!」
 指輪を手渡すとLerexusは大げさな感謝の言葉とともに報酬を手渡してきた。ありがたく受け取った後、しばらく彼と雑談する。最近何か変わった話は?と水を向けると、彼はこんな言葉を返してきた。

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「そういえば、最近Leyawiin城に自らを騎士だと主張するOrcが居ついてしまって、伯爵が対応に苦慮しているということだよ。妙なこともあるもんだ」
 ……何だそりゃ。

「貴女は伯爵閣下であらせられますか」
 翌日。
 Lerexusの話が気になってLeyawiin城を尋ねてみたぼくを玄関ホールで迎えた重武装のOrcimerの剣士は、いきなりそう言った。
「そんな訳無いだろ」
「ならとっとと失せろ」
 身も蓋も無いにも程があるな。確かにこりゃ対処に苦労しそうだ。まあ力ずくでたたき出すなら話は簡単だが、今のところそこまでの強行手段は取れていないようだ……時間の問題のような気もするけど。

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 まあ何にしても、あのAlessiaがこれで困っているというのならある意味いい気味というものだ。一瞬そのまま帰りかけたが、Marius殿かAlessiaが本気で強制排除を決意して、ホールに血の雨が降ったりするのも嫌だったので、ぼくはこの件に首を突っ込むことにした。

「Nineの御威光によりLeyawiin伯を務めております、Marius Caroです。……以前どこかでお会いしましたかな?」

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 謁見の間で、以前と変わらぬ柔和な物腰でLeyawiin伯Marius殿は一人でぼくを迎えた。隣の、夫人がつくべき玉座は空いたままだ。どうやら定例の里帰り中らしい。ぼくは内心でそっと胸をなでおろした。正直なところ、今はまだ彼女と顔をあわせたくは無いんだよね。
「玄関ホールに居座っているOrcの事でお困りと聞きましたが」
 伯爵の問いには曖昧に肩を竦めて応えるだけにとどめ、ぼくは用件を切り出した。
「ええ、その通りです。Mazogaと名乗るOrcが、自分は騎士であると主張して城に居座っているのですが、用件を明かそうとしないのです。彼女が何故ここに居るのかを突き止めて、私に報告してください。Leyawiinへの助力にふさわしい褒美をとらせましょう」
「……衛兵達には何も?」
「何度か問い詰めさせましたが、『伯爵と話させろ』の一点張りなのです。ですがまさか私本人が玄関まで出向く訳には行きませんし、彼女も武装したまま謁見の間に押し入るつもりは無いようですので」
 なるほどね。
「わかりました。ただ、そうなると彼女に口を開いてもらうには閣下の使者あるいは代理を名乗らざるを得ないと思いますが、構いませんでしょうか」
「もちろんです。それが必要であるなら遠慮なくどうぞ」
 ……要するに、城内の人間を面倒に巻き込みたくないと。まあ妥当な判断ではあるけどさ。

「貴女は伯爵閣下であらせられますか」
 Orcimer剣士の元に戻ると、彼女は早速そう問いかけてきた。さっき違うといったと思うけど。
「なら用は無い」
「……ぼくが伯爵の使者でも?」
 せっかくお墨付きをもらったことだし、さっさと話を進めてしまおうと早々に手札を切ると、彼女はいきなり居住まいを正してぼくに向き直り、恭しく一礼した。
「伯爵の? では話をいたそう。私はOrcのMazogaと申す者。岩の下で生まれ親はない、故に姓もない」

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 おお、これはまたなかなか見事な名乗りだこと……何かがいろいろと間違っているような気もするけど。大体、文化として姓を持たないのはNordやBosmerあたりであってOrcimerは普通姓を持っているものじゃないだろうか。
 まあ、彼女の場合は要するに親がいないから姓もわからないと言っている訳だから決しておかしなことを言ってはいないが、ということは養親もいなかったということか……普通に考えれば相当荒んだ育ち方をしていそうだが、そうなるとこの妙に時代がかった物言いの理由がよくわからないな。
 などと考えていたせいで、知らぬ間にMazoga嬢の顔を不躾にじろじろ見続ける形になってしまっていたらしい。彼女はむっとした様子で口を開くとこう言い放った。
「おまえは騎士と話す作法を知らぬようだな。私に何か言われたら常にこう答えろ、Yes, Sir Mazogaと」
 ……女性で騎士爵位を得たものがこれまで皆無という訳ではない。政治的都合とはいえ、ぼく自身Ocatoに帝国騎士位を押し付けられている。だが彼女の主張する『騎士』はこれまた何かがいろいろ間違っているような気がしてならない。
「それで貴女は、誰に剣を捧げた騎士なんです?」
「流浪の騎士だ、主も持たぬ。何か問題があるか?」
「……おおありじゃないかな」
 騎士身分でありながら主を持たないというのであれば、何らかの罪で主家に追放されたということになるんじゃないか? もちろん主家が滅亡したという可能性もあるが、彼女の場合は……身分詐称だろうなあ、やっぱり。しかも多分、意味がわかってないな。
「おまえは騎士のなんたるかを知らぬな、わきまえろ」
 ……はいはい。で、御用は何でしょうか、Mazoga卿。
 話が進まないので、言いたいことは全部棚に放り上げて彼女に調子を合わせると、ようやくMazogaは本題を切り出した。
「Weebam=Naという名のArgonianがいる。彼をつれてこい」
 誰だよそれ。
「Weebam=Naの居場所を知っているか? このあたりの森に精通した腕のいい狩人だという話だが」
 いや、知らないって。名前を聞くのも初めてだよ。
「では彼を捜せ。私がすぐにも会いたがってると伝えるのだ。そしてここにつれて来い」
 それだけでなんとかしろと?!
 ……まあ何とかなるんだろうな。Argonianであることを考えればこの街ではあまり裕福な暮らしはできまい。となればそれなりの場所で聞き込みをすれば見つけられるだろう……城に来てくれるかどうかはともかく。

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 ぼくの気分と同じくらい重苦しい空模様の下、目指すWeebam=Naの家は折から降りだした雨に打たれてLeyawiinの下町に佇んでいた。扉をノックすると程なく錠が解かれ、明かりのほとんどない家の中で、彼はぼくを迎えた。

「で、そのOrcが俺に会いたがってるからどうだって言うんだ? だからと言って俺の方もそのOrcに会いたいと思わなきゃならねぇ道理はねぇよな。それにそんな無茶な願いを聞かなきゃならねぇ程の義理があんたにあるわけでもない」
 ごもっとも。
「大体、何の用かもわからねえのに会いに来いって言う事自体常軌を逸しちゃいねぇか?」
「用と言うなら、貴方の狩人としての知識と実力を頼りたいんだとは思うよ……ぼくが判断する限りは、だけど。普通のガイドの類の仕事の可能性もあるし、一度会ってみてくれないかな。その上で無茶な話なら断ればいいんだし」
 さすがに城の中で荒事にはおよぶまい……そう信じたい。

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「だとしても無視したほうが利口な気がしないでもないがな……とはいえ、今まで利口であろうとして何かいい事があったわけでなし、あんたの言ってることの方が正しいような気がする。いいだろう、城に行ってこれがどんな縁なのか確かめて見るとするか」
 ……口調はともかく根はいい人だな、彼は。

「お前がWheeban=Naか。ならFisherman's Rockの場所を知っているな?」
 彼を連れて城に戻るや、Mazogaはいきなりそう切り出した。
「ああ、まあ……。LeyawiinからYerrow Roadを北に三刻ほど上ったNiben Bay東岸だが……」
「なら私をそこに連れて行け。すぐにだ」
「……また何で」
 普通、聞くよな。少なくとも彼を道案内に雇うつもりなら、理由を話して報酬を提示する必要があると思うけど……。

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「お前には関係のない事だ」
 ……やっちまったよ、この姉さんは。
「訳すら話してくれねえんじゃ、応じられねえよ。人に物を頼むならまずきちんと理由を説明しな」
「そうか」
 Mazogaは言葉を切った。どう考えても現状ではWheeban=Naの言い分のほうに理がある。
「……なら地獄へ堕ちろ」
 おい?!
 一瞬ぎょっとなったが、Mazogaはそのまま彫像のように身動きせず、再び沈黙した。
「……ごめん」
 呆れて家に帰ろうとするWheeban=Naを捕まえ、ぼくは頭を下げた。足を運ばせた手間賃に、心づけ程度の硬貨を握らせる。
「悪りぃな。俺には無理だったが、お前さんならなんとかあの姐さんともうまくやれるんじゃないか? まあせいぜいがんばってくれ」
 何でそんな事が言えるんだよ、と言う間もなく彼は城の扉を抜けて帰って行ってしまった。呆然と彼を見送っていると、Mazogaは今度はぼくに声をかけてきた。
「Weebam=NaはFisherman's Rockへの案内を拒否した」
 当たり前だ。君は人に物を頼む方法を知らなすぎる。
「お前はFisherman's Rockが何処にあるか知っているか?」
 どういう話の流れでそうなるんだよ?! 大体、Weebam=Naから場所を聞いたのは君だろう。
「ArgonianはLeyawiinの北、Niben Bay東岸にFisherman's Rockがあると言った。すぐに連れていってくれ」
「理由は……聞いても教えてもらえないんだろうね」
 さすがにうんざりした様子で返すと、以外にも返事が返ってきた。
「Mogensという男がそこにいる。異名に曰く、the Wind-Shifterと名乗る者だ」
 ……ふたつ名持ちか。つまりはよほどの高名か、さもなくば悪名が高いという事だな。
「お前はそこへ私を案内し、私が何をするか見ていろ」
「わかった、行こう」
 即答すると、ぼくは彼女の返事を待たずにきびすを返した。Mazogaが驚いたように後を追ってくる気配を背中に感じる。
 まったく、以外に切れ者だな彼女は。危うく騙されるところだったよ

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 城を出てすぐに、降り続いていた雨が上がった。見落とすとまずいので街道は使わず、Niben Bayの岸辺をまっすぐ北に向かう。Leyawiinを午前中に出てひたすら北上すると、午後も半ばになって巨大な焚き火とそれを取り囲む野営地が視界に入ってきた。

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「Leyawiinから北に三刻……か。どうやらあれだね。で、まず君がMogens Wind-Shifterとやらと話すということでいいんだよね」
「そうだ、最初に奴と話をする。奴の歯を叩き折るのも首を斬り落とすのも無しだ」
「わかってるよ、まず話をして、その後で歯を叩き折ってやるんだろう?」
 答えると、Mazogaは一瞬驚いたように眼を見開いたが、すぐに表情を消す。
 そして短く「頼む」とだけ呟くと野営地へと歩み入って行った。

********************
#Interlude

 背後から口を塞がれた、と気づいたときにはもう冷たい鉄の刃が私の心臓を貫いていた。
 苦痛はない。色も音も失った世界が、ただ急速に昏くなって行く。
 そんな中、私が最期に思い出したのは、何故かつい昨日彼女と交わしたばかりの会話だった。
「……だから、もういい。ガイデンシンジも、兵法も卒業。これからは、騎士道でいく」
「え?」
「騎士道だよ、騎士道。これからは、騎士道の時代だよ」
「そ、そうなんだ」
「まだ、研究中だけどな」
 自分が死ぬことに、不思議と恐怖はなかった。ただ彼女ともう話せないことだけが、無性に悲しかった。

********************

「Mogens Wind-Shifter、私を憶えているか」
 野営地に踏み込んだMazogaは、まっすぐに焚き火の傍らにいた上半身裸の男に歩み寄って声をかけた。野営地全体にさざなみの様に緊張が走る。そのあたりの山賊のように、いきなり敵意をむき出しにして襲い掛かってこないあたりはそれなりに老獪だが、その辺の無害な漁師を装うにはこの連中は少々纏っている気が物騒に過ぎる。

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「知らねえな。誰だお前?」
「我が名はMazoga。貴様は我が友Ra'vindraを殺したな」
 MazogaとMogensの会話を聞き流しながら、さりげなく他の三人を牽制できる場所に移動する。重装と軽装のKhajiitが一人ずつ、後はDunmerの弓使いか。他に伏兵がいる気配は……ないな、幸いにして。
「何のことかさっぱり分からねえな」
「卑劣な嘘つきめ。Ra'vindraを殺めし報い、今此処で受けてもらおう!」
 Mazogaの怒号が響くと同時に、向こうの4人も一斉に武器を抜いた。同時に素早く散開し、連携して彼女を包囲しようとする。……そこまで本気で正体隠すつもりはなかったようだね。まあ、その方が都合がいい。
 ぼくは素早く間合いを潰し、軽装のKhajiitの眼前に滑り込んだ。まだ剣は抜かない。MogensはMazogaの相手だけで手一杯なので、柄に手をかけたまま他の二人の動きを探る。
「……邪魔はさせないよ」
 ぼくの呟きに呼応して、目の前のKhajiitが剣を振り上げた。ぼくが剣を抜く前に一撃加えられると踏んだのだろう。だが……。
「甘い」
 ぼくは鞘に納まったままの剣をまっすぐ前に突き出し、がら空きになった鳩尾に柄頭を叩き込んだ。武器を取り落として身を二つに折る相手をそのままに、身体を半回転させて背後から切りかかってきたもう一人、重装のKhajiitの両手剣に空を切らせる。その勢いのまま抜き打ちに重装のKhajiitを斬り捨てると、武器を取り直そうとしていた背後のKhajiitも斬り伏せる。残ったDunmerの弓使いが慌てて後退して距離を取ろうとするが、ぼくは素早く間合いをつめ、相手が武器を持ち帰る前に止めをさした。
「さて、と」

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 他の敵を全員片付けると、ぼくはMazogaとMogensに注意を戻した。万一Mazogaが劣勢だった場合、果たして助勢に入ってもいいものだろうかと一瞬考えるが、まったくの杞憂だった。一対一で防御に徹していたためかMogensはまだ何とか持ちこたえていたが、既にMazogaの猛攻の前に防戦一方で、それももう長くは持ちそうにない。Mazogaはそのまま力任せにMogensを押し切り、彼の防御を突き崩してMogensを討ち果たした。

「誓いは果たした。Mogens Wind-Shifterは死んだ」
 折からの夕日に照らされ、静かにMazogaは言った。

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「……それで、いつから気づいてた?」
「何に?」
「私が、最初からあんたをここに連れて来ようとしていた事に、だよ」
「Wheeban=Naを追い返した時かな」
 ぼくは肩を竦めた。
「それでなんとなくそんな気がしたんだ。君が求めているのは案内人じゃなく、立会人なんじゃないかって……仇討ち、だったんだね」
「それでも何も言わずについて来てくれたのか……すまない」
 Mazogaは黙った。しばしの沈黙の後、再び口を開く。
「Mogens Wind-Shifterは旅人を襲って金品を奪うならず者だった。偶然奴の潜伏場所を知ったRa'vindraは、それを衛兵に通報した。奴は逃げたが、同時にRa'vindraの……私の親友の生命を奪っていった。その日、私は誓いを立て騎士となったのだ。奴を探し出し、必ず討ち果たすと。今日、あんたが私を助けてくれたことは忘れない」
「そっか、じゃあもうSirと呼ばなくてもいいのかな?」
 何の気なしに口にした言葉だったが、Mazogaは驚愕の表情でぼくを見た。
「どうして?!」
「どうしてって……もう、君を騎士としていた誓いは果たしたんだろう?」
 戸惑いつつ問い返すと、彼女は力なく頷いた。
「ああ……確かにそうだな。仇討ちとはいえ私怨は私怨。それをいつまでも引きずることは騎士としてふさわしいとは思えない。だけど……」
 縋るような眼でぼくを見て、彼女は続けた。
「私が騎士たることはRa'vindraの望みでもあったんだ。単に剣の強さを求めるのではなく、自分の強さを自分以外のために使うことが。私たちは自分の騎士道を見つけるつもりだった。そう約束したんだ……彼女が殺される前の日に。だが、彼女はもういない……」
 絶望の表情で、彼女は問いかける。
「私はこれから、どうしたらいい?」
 その問いに答えられる者は、誰もいないだろうな。ぼく自身、叶うものなら誰かに問いかけたいところだ、ぼくはこれからどうすればいい、と。
 ぼくは首をふって益体もない考えを追い払うと、唯一返せる答えを返した。
「とりあえず、Leyawiinに帰ろう」

「昔、父がこんなことを言ったことがある」
 Leyawiinに向けてYellow Roadを南下しながら、ぼくは口を開いた。
「かつての騎士は、戦をするのが仕事だった。だが帝国によって曲がりなりにもTamrielが統一され、戦乱の世が去ると騎士は悩んだ。もう、剣の強さは必要ないのか。自分達に存在価値はないのか……そこで考え出されたのが『殺人刀と活人剣』の概念だ。平和な世の中にも必ず悪人はいる。その悪人を斬るのは『殺人刀』だが、それによってその後その悪人の犠牲となるかもしれない人たちを救うことができる。即ち『殺人刀』は使い方一つで『活人剣』になる、そういう考え方だ。
 もちろん実際には、そう単純には行かない。罪を定め、それを裁くのはあくまで国家でなければならず、如何に正しい義憤や倫理に基づいていたとしても、個人が勝手に他者を裁くことを認める事は、『殺人刀と活人剣』の前提となる平和それ自体を脅かす事になりかねない。なによりこの考え方は、本質的に力を持つものが正義を定め、それを独占することを肯定しかねない危険性を孕んでいる。国家の法と統治はしばしば個人の正義や倫理と対立するものだし、そのことを嘆き、憤る者も多いが、にもかかわらず正義を個人に委ねない事は、残念ながら往々にして正しい。何故なら、力を持つ者が道を踏み外すことは、力を持たない者と比べても圧倒的に容易いからだ。だから、剣を持つ者はすべからく己の『道』を持たなければならない、そう父は言った」
「それが……騎士道だと」
「そうだね。騎士道……そう、言い換えてもいい。義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義、克己……集約すれば他人を敬い、世のためを思い、精進を怠らない……そういう心得に行き当たる。最低限、その三つを忘れなければ人はいつ、どこの時代でも生きていけるだろう、とね」
 ぼく自身は、もうそんなことを信じてはいないが。
「あんたの父上は、さぞや立派な騎士だったのだろうな」
「いや?」
 ぼくは小首を傾げて、Mazogaの問いを否定した。
「ただの郷士だよ。名字帯剣を許された富農、郷の顔役……せいぜいそんなところかな」
 それも総て喪われてしまったけれども。
 何故彼女にこんなことを話したのかは自分でもわからない。だがこの時は、それが正しいことのような気がしたのだ。
 例えぼく自身は、二度ともうそんな世界に戻れないとはしても……。

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天気輪

URL | [ 編集 ] 2011/01/24(月) 23:07:27

はじめまして。以前からコソコソ来てました(今更ですが)
最近はギルドとかSIとか大型クエストばかりしてたので非常に新鮮でした。
密売人の小屋にはそうとは知らずに入っていきなり襲われたので訳もわからず殴り倒した記憶が…w

マゾガ卿ってネタキャラとしての個性ばかり突出してる感がありますが、
あまねさんのマゾーガは軸がブレてなくてカッコイイっすね。
口数少ないのに表情の描写で感情豊かな人物なのが解るのもまた…
それにしてもこれだけ良いキャラを美女にしない所にベゼズダのシナリオライターの
ひねくれ具合を感じおや窓に緑の人影が(ry

あまね

URL | [ 編集 ] 2011/01/30(日) 23:34:27

 天気輪様、ようこそいらっしゃいませ。返信が遅くなって申し訳ありません。

>そうとは知らずに入っていきなり襲われた
 そういうアクシデントもまたOblivionの楽しみの一つですね。非クエスト扱いのちょっとしたイベントとかもありますし、普通に賊のアジトに突入したらクエストアイテム拾っちゃったなんて事も……。

>Mazoga卿
 は、クエストとかキャラの性格はある意味ものすごく正統派だと思います。で、真面目に書いてみたらああなってしまったと言うか、私には到底天気輪さんの『歌うMazoga卿』を書く腕は無いと言うか……(苦笑)。ちなみにタイトルが示す通り、私のMazoga卿は多分に『武士道シックスティーン』の磯山香織の影響を受けています。もっとも香織の場合は現代の女子高生でありながら『昼休みに握り飯を頬張りつつ五輪書を読みながら鉄アレイを振ってる』というのがキャラとして笑いを誘うんですが、Mazoga卿が同じ事をやっても……全然違和感が無いというか、普通すぎるというか(爆)。
 後はもう一人、コーエーの某RPGに出てくる『騎士を目指す少女』で『初対面時の主人公に対する態度がかなり傍若無人』、『勝気ではっちゃけた性格のようで実は生真面目で思いつめるタイプ』かつ『昔大切な人を亡くしている』誰かさんの影響もかなりあるかもしれません(おかげでMazoga卿が更に真面目に……)
 それでは、またそちらにもお邪魔します。

ウロ

URL | [ 編集 ] 2011/02/15(火) 23:35:19

こんばんはー、ご無沙汰しております。

書き出しの雰囲気がいつもとだいぶ違うなー、と思ったら
これは「武士道」のオマージュだったのですね。
未読だったのでついでに読んでなるほど納得、Mazoga卿と磯山は似てるとこありますな。
傍若無人に我が道貫いちゃうところとか。
磯山の場合はライバルによって己の世界から脱却したところありますが、
西荻Ra'vindra亡き後のMazogaさんは……このままなのかな(笑)
Bethesda流のネタがちりばめられてますが、なんだかんだで
芯があって恰好のいいキャラですよね、Mazoga卿って。

そういや今回からLlewellyn嬢の装いが変わりましたね。
紋付のマントと盾、凛々しくてよくお似合いです。
ご令嬢だった彼女が牢屋で目覚めるまでに一体何があったのだろうと非常に気になるです。
Jauffreも知っているようだったし。むむむ。

あまね

URL | [ 編集 ] 2011/02/18(金) 23:56:14

 ウロ様こんばんは~。
 この日記がきっかけで『武士道シックスティーン』を読まれたとの事で大変嬉しいです。実はLlewellyの開始時年齢が19歳なのはこのネタやるためだったりします(笑)。どうせなら映画公開前に間に合わせたかったんですが……いや、まあ(^^;;
 早苗ことRa'vindra嬢はもういませんが、Mazoga卿も闇雲に強さを求める段階は脱していますし、この後も自分の騎士道を貫いて成長していくんじゃないかとは思います。まあうちの娘は間違っても早苗やレナと言った柄ではありませんが……そのうち白馬騎士団に美緒みたいな新米騎士がやってきたりして(ないない)。

 マントはFightersGuikdUnitedにも戦士ギルド用赤マントはついてたんですが、無地でデザイン的にもいま一つだったんで着用してませんでした。という訳で今回Hemingway Capesの導入を機会にめでたくマントデビューの運びとなりました。過去の話は……次クエストあたりで少しは出したいなあと思ってます。

 ではでは。

-

| [ 編集 ] 2011/03/18(金) 01:43:34

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