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柳のある風景

カテゴリー: プレイ日記

 プレイ日記です。以下のクエストのネタバレが含まれています。

・A Brush With Death



 Cheydinhal、街中を流れる清流の岸辺にたおやかな乙女達のような柳が並ぶ街。ぼくはここで人を捜していた。捜す相手はReynald Jemane。ChorrolのGrey Mare亭で呑んだくれているReynald本人から、この街にいるという『もう一人の自分』を捜してくれと言われたのだった。依頼料を一方的に押しつけられ、断ることもできなかったぼくは、ギルドの仕事が一段落したので機会にこの依頼に手をつけることにした。
 何人かの街の人々に尋ねてみたが、未だ『もう一人のReynald Jemane』の手がかりは見つかっていない。それどころか『人を捜しているのなら、ちょうど行方不明事件がおきているので解決してほしい』と別な仕事を依頼される破目になってしまった。Rythe Lythandasという有名な画家が姿を消してしまったというのだ。

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 無下に断って今後この街の住人とぎくしゃくしたり、Reynaldの手がかりが得られなくなっても困りものだ。そう考え、ぼくはこの画家の家を訪ねることにした。

「私がTivela Lythandasです。すみません、何のおもてなしも出来なくて。夫のRytheが行方不明になって、もうどうしていいかわからないんです」

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 ぼくを迎えたのは、すっかり憔悴し、取り乱した様子のDunmerの女性だった。失踪した画家、Rythe氏の妻であるTivelaさんだ。失踪の原因も手がかりもまったくないとあっては取り乱すのも無理はないが、事情がわからなければ手助けもできない。なんとか彼女を落ち着かせ、聞きだした話は以下のような物だった。

 Rythe Lythandas氏の失踪が明らかになったのは二日前の事だ。彼は、食事と睡眠の時以外は自分のアトリエに鍵をかけて篭もりっきりで絵を描くのが日課だったという。そのため、三日前の晩に彼がアトリエから出てこなかったときには、また徹夜で絵を描いているのだろうと考え(これまでもしばしばそういうことがあったそうだ)、Tivelaさんもあまり気にはしなかった。だがそのまま丸一日が経過し、さすがに心配になった彼女が予備の合鍵で扉を開いてアトリエの中を確認したところ、中には誰もいなかったというのだ。
 なるほどね。
 そんな彼は一体どんな絵を描くのだろう。さすがに失踪事件解決の手がかりになるとは思えなかったが、少しでも情報を得られればと思って聞いてみたのだが、この質問はTivelaさんをひどく驚かせてしまった。どうもぼくがRythe氏の絵も名前も知らなかったことが、思った以上に衝撃だったらしい。
「本当にご存じないのですか? 不思議ですわね。RytheはCyrodiil屈指の画家の一人ですのに」
 いや、そもそもぼくには投獄される以前の記憶が無いんだけど……とぼくは内心でつぶやいた。いちいち弁明するようなことでもないので黙っていたけど。それにいずれにしても、記憶を失う前のぼくがRythe氏のことを知っていたという保証も無い。
「あの人の描くGreat Forestの絵は最高ですわ。あまりにも真に迫っているので木々がそよ風に揺れるのを見たとおっしゃる方までいらっしゃるのよ」
 ……何だろう、何かが引っかかる。
「……ということは風景画が御専門なんですか?」
「ええ、人物画を手がけたことは私が知る限りありませんわ」
「リキッドホワイトを下地全面に塗っておいて、三十分で仕上げておしまいになる?」
「……それは誰か別の方の画法だと思います」
 そうだっけ?
「確かに夫も、どこかにありそうだけれども実際にはどこにも無い風景を、現実と見まがうばかりに活写すると言われたことはありますけど」
「つまり、アトリエではRythe氏は常に本当に一人だったんですね。モデルがアトリエの中に入ることも無かったと」
「もちろんです」
 何か引っかかる物はあるのだけれど、それが何かはわからない。ぼくはとりあえず、アトリエの中を見せてもらうことにした。

 アトリエの中には……不審なものは何も無かった。

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 イーゼル、そして未使用のキャンバス……。

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 画材各種……。

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 描きかけの……といっても完成間近だが……絵などがあるだけだった。まあわざわざこんな窓一つ無い部屋で風景画を描くというのもどうかとは思うのだが。入り口も一ヶ所だけで、透明化か擬態化の魔法でも使わない限り、部屋から気づかれずに出ることは不可能だ。
 どこか思わぬところに、まったく別の空間への出入り口でもあれば話は別だが。
 ふと、すぐ外にある流れの岸と、立ち並ぶ柳の事を思い浮かべた。水辺に柳の立ち並ぶ美しい街。『柳のある風景』。
「……まさかね」
 呟く。でも、何が『まさか』なんだろう。
 さっきからの妙な引っかかりが何だったのか、少しずつ思い出してきた。以前、似たような話を本で読んだことがあったのだ。もちろん、そちらの方はあくまで架空のお話だったのだが。その話に出てくる絵の中の風景が、確か水辺の柳だった……ような気がする。そしてその時、ぼくの隣…に……は……?!。
「………………!!!」
 視界が昏み、世界が反転した。またしても灼熱した暗黒が、焼けた鉄串のようにぼくの脳を刺し貫く。ぼくは咄嗟に、傍らの絵の載ったイーゼルに縋りついて身を支えようとしたが、そこまでだった。何かに沈み込んでいくような感覚が全身を覆い、意識が遠のいていく。
 ぼく自身の呟きを他人の声のように聞いたのを最後に、ぼくは意識を喪った。
「Thecla……」

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「そのまさかだったか。まいったね、どうも」
 ぼくは呟いた。目の前には一面に『油絵で描かれた森林』が広がっている。その光景は確かに、ここに来る前にRythe氏のアトリエで見た描きかけの絵の風景に重なった。意識を失いかけたぼくは、倒れそうになって咄嗟に絵にしがみつき……そのまま『絵の中の世界』に来てしまったらしい。
 しかし、困った。一体どうやって帰ろう。Rythe氏も同じ絵の中の世界にいてくれればいいが、もし外や、あるいは別の絵の中にいたら……。不吉な想像に一瞬背筋が寒くなったが、幸いそれは杞憂に終わった。すぐそばの藪の陰から、一人のDunmerの男性がぼくの方に向かって歩いてきたのだ。

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「君はどこから来たんだ? 見たところ絵や幻では無いようだが。外から来たのか?!」
「あなたがRythe Lythandas氏で、ここがあなたのアトリエで見た描きかけの絵の中ならその通りですけどね……」
 ぼくは答えた。後から思い返すと、結構ひどい受け答えだ。平静を装ってはいたものの、実のところはかなり動揺していたらしい。
「……状況を大体把握してくれているようだね。私に会えてほっとしているようだが、実は少々悪い知らせを伝えることになるかもしれない。あのいまいましい泥棒がいなければ、こんな苦境に陥ることにはならなかったのだが」

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 そう言ってRythe氏は話し始めた
 事件のあった日、Rythe氏はいつものようにアトリエに入って鍵を掛けた。すると黒い服を着たBosmerがアトリエに潜んでいて、助けを呼ぼうとしたら殴られて気絶した。気がつくとアトリエの中には描いた覚えのないトロルのような生き物がいて、襲いかかってきた。件のBosmerが絵の中に遁走し、身を護るためにトロルの絵を描いたのだと察したRythe氏は、トロルから逃れるために自分も絵の中に逃げ込んだ……。
 これがRythe氏の話してくれた事件のあらましだった。
「……つまり、あなたは絵に描いたものを実体化させる事ができる。それがあなたの画家としての成功の秘密だと?」
「概ねはそうだが、私自身にそんな大それた力はないよ。それはあくまで私の絵筆“Brush of Truepaint”の力だ。あのBosmerはどこからかこの絵筆のことを知り、盗み出そうとしたのだろう」
 戦争で両腕を失った画家に美の女神Dibellaが授けたアーティファクト、穂にDibella自身の髪が編み込まれているという筆こそがその“Brush of Truepaint”。負傷した画家とはRythe氏の父親で、彼が父の後を継いで画家となった時に、絵筆と秘密とを託されたのだそうだ。
 その筆は絵に描かれた物を実体化させ、画家がキャンパスの中に入り込んで絵の中でその絵自体を描くことを許す。そこで描かれたものは何でもキャンパス上に現れる。つまり絵の中に、もう一つの世界を作り出し、それ故に描かれた絵は驚くべき緻密さと奥行きとを得る事になるという。まったくとんでもない代物もあったものだ。
「そんな訳で、君が“Brush of Truepaint”を取り返してくれないと我々はこの世界から脱出できないという訳なんだ」
「……そりゃよかった」
「何だって?!」
「つまり、帰る気はあるってことでしょう?」
「あたり前だろう……?」
 Rythe氏は不審げにぼくを見る。無理もない反応だとは思うが、このときのぼくは取りあえず最悪の予想だけでも外れたとこにほっとしていたので、そこまで気が回っていなかったのだ。
 ぼくが読んだ話では、現世に絶望した主人公が絵の中の世界に行ったきりになってしまってたんだよね……。
 
「それで、絵筆を持ってるって言うBosmerは?」
 Rythe氏に状況の確認を続ける。
「死んだよ。自分の描いたトロルに殺されてしまった。死体はこの世界の縁……まだ描きかけの場所との境界近くに放置されている。絵筆もまだそこにあるはずだ。多分トロルもまだその辺りをうろついてる」
 なんだかなあ……。何とか絵筆だけ取り返してきて、さっさと逃げ出す訳には行かないんだろうか。
「その事なんだが……」
 Rythe氏は言いにくそうに切り出した。
「できれば件の『絵のトロル』は全部取り除いてほしいんだ。あれは私が描いたものじゃないからね。あれが残ったまま絵を完成させたらどうなるのか、私にも正確な所はわからないんだが……」
「最悪の場合、トロルが向こうの世界に沸いて出る可能性もある、とか?」
「否定はできないな」
 何てことだ。
「私は君を助けられないと思う。私は戦士じゃないからね。代わりにこれを渡そう、テレピン油だ。役に立つといいんだが」
「そのトロルは一応油絵の具製なんだっけ……なるほどね、6本もぶっかければ何とかなるかも知れないな」
「すまないが……」
 Rythe氏はぼくを申し訳無さそうな表情で見つめ、口を開いた。
「トロルは全部で6体いるんだ」
 勘弁してほしい。

 問題は、今のぼくは防具の類を何一つ身につけていないということだ。まさかCheydinhalの街中で他人の家を訪ねるのに全身フル武装でいくなどありえない。押し込み強盗じゃあるまいし。
 幸い剣だけは腰に下げていたものの、防具無しでトロルとやりあうというのはあまり楽しい想像ではなかった。正直、現実世界で防具を身につけていても、あまり戦いたくはない相手なのに。

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 そうこうするうちに、一体目を見つけた。幸いまだこちらには気づいてない。ぼくは剣の刃にテレピン油を塗りつけ、背後からこっそりと忍び寄って……。

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 斬りつけた。何かねばねばとしたやわらかいものに刃が食い込む感触とともに、トロルが苦痛に咆哮する、が……。
「……やっぱり一撃って訳には行かないんだよね!!」
 慌てて飛び下がった空間を、トロルの太い腕が薙ぐ。冗談じゃない、あんなものを食らったら胴を二つにちぎられてしまう。
「……相手してられるか。こい、Daedroth!!」

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 ……結局、Magikaを回復させながら少しずつ先に進み、5体までを召喚Daedrothに片付けてもらう。

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 そしてたどり着いた場所は……。

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 これが世界の果てか。さてここまで、何マイルあったのかな。

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 そしてその砂漠の中に倒れた小さな人影と、その脇に立つ大柄な影。

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 もちろんこいつも、Daedrothに倒してもらった。

 Bosmerの盗賊の遺体の懐を探ると、Rythe氏の言ったとおり絵筆を持っていた。これが“Brush of Truepaint”か……まさかこれはダミーで、本物は別のところに隠したなんてオチは無しにしてくれよ。
 Rythe氏と最初に出会った場所に急ぐ。来た道をそのまま戻らず、ショートカットして稜線を乗り越えると、すぐ下にRythe氏の姿が見えた。

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「ご苦労様! 今からアトリエへの入り口を描くから私より先に中に入ってくれ。さもないとこの世界に取り残されてしまうよ」
 ぼくから絵筆を受け取ったRythe氏は、宙空に筆を走らせあっという間に一枚の絵を描き上げた。

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 それはCheydinhalのあのアトリエ。この絵の中から見たあの部屋の情景だ。絵を実体化させるのは絵筆の力だとしても、絵自体はRythe氏が描いたもの。だとするとやはり彼の画力は大したものだというべきなんだろう。しかしこれだけ短時間で仕上げられるって言うことは……やっぱり『あの画法』を使ってるんじゃないのかなあ?
 一瞬、Rythe氏の頭がRedguardのようなもじゃもじゃ髪に覆われている幻覚に襲われかけたので、ぼくは無益な想像を打ち切ってさっさと絵の縁をくぐり、Tamrielへと帰還した。

 帰還後、Rythe氏から感謝の言葉と報酬……油絵用のエプロンだ。一応それなりの防護魔法が付与されてはいるけど……を受け取り、代わりにこの一件、つまり例の筆の事を秘密にして欲しいと頼まれた。了承して彼の家を後にする。Lythandas家を訪ねたのは午後の半ばだったが、家を出たときにはすっかり日も落ちた後、有り体に言えばもう真夜中前だった。今夜の寝場所を求めてギルドホールに向かって歩き出したところではっと気づく。

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 ……駄目もとでもいいから、Reynald Jemaneの事を聞いておけばよかった。
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nek-12

URL | [ 編集 ] 2009/10/26(月) 05:22:47

くだんの絵画教室番組は小さい頃の楽しみでした。
「ね?簡単でしょ?」

あまね

URL | [ 編集 ] 2009/10/26(月) 23:59:08

>nek-12さん
「テュー」とか「絵の世界では私が神様です」というのも考えましたがさすがに自粛しました(笑)。タイトルからしてC.A.スミスネタは最初から使う予定でしたが、絵画教室ネタなんて書き始めた時には考えても見なかったはずなんですが、何故か書き終わってみるとこんな事に……。
 でもよく考えてみたら、アフロの絵描きさんはちゃんとChorrolにいるんですよね(^^;;

ウロ

URL | [ 編集 ] 2009/11/08(日) 21:13:48

最近こちらを知りまして、プレイ日記を一息に読ませていただきました。
Llewellyn嬢のクールだけど淡々とはしていないストイックな姿勢や描写、
崩しすぎない独自の展開に、にやりとさせられる各章タイトル。
隅々まで手が込んでいて素敵だなあと拝見しております。
『終着駅』の『真の宝は、この封印解除の鍵の一言だったのかもしれないな』
この一行がとても響きました。あの合言葉、とても哀しいですよね……

ぜひリンクを貼らせていただきたいのですが、如何でしょうか?
(一通り見たつもりなのですがリンクについての記載がなかったので、見落としていたらすみません!)
気が進まないようでしたら忌憚なく仰ってくださいませ。
これからの展開も愉しみにしてます!

あまね

URL | [ 編集 ] 2009/11/11(水) 00:22:47

 ウロさまこんばんは、御訪問ありがとうございます。
 リンクは完全フリーなのでわざわざ断っていただかなくても遠慮なく張っていただいて構いませんよ~。あとでこちらからもリンクさせていただきますね。
 ジェナさんの兄妹道中も拝見させていただいてますが、Chorrolへの旅路がいきなりエラいことに……えふこむって怖いんですね(苦笑)。

 タイトルは結構狙ってつけているので、突っ込んでくれる方がいてくれてうれしいです(笑)。

 それでは、超スローペースの日記ですがよろしければまた御訪問ください。











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